メタバース建築家って何をするの?どんな事ができるの?
皆さんは「メタバース建築家」という職業をご存じですか?
最近、メタバースという言葉はよく耳にしますが、メタバースでの建築家の活動について詳しく知る機会は少ないかもしれません。
この記事では、メタバース建築家とは何か、どんなサービスを提供しているのか、どのような可能性を持っているのか、メタバース建築家 楳溪浩二さんの協力のもと、この新しい分野の魅力と未来についてご紹介します。
楳溪 浩二さん
・メタバース建築家
・二級建築士
幼少期からパティシエになる夢を持ちつつも、大工だった父親の影響で建築の世界へと足を踏み入れる。35歳で二級建築士の資格を取得し、その後は建築士としても活躍。 現在は顧客の満足度をさらに高めるため、3DCADを駆使し、メタバース建築家としてもサービスを提供しています。
メタバース建築家の定義
メタバース建築家とは文字通り、メタバース空間内で建築物を設計し建築する専門家のことです。
現実世界の建築家と同様に、建物や空間の設計を行いますが、メタバース建築家としての活動の舞台はメタバース空間に限定されます。
しかし、メタバース建築家と同様にメタバース(RobloxやFortnite)で空間を設計する人たちはマップクリエイターと呼ばれており、「メタバース建築家」と呼ぶことは少ないように思われます。
ここに何か違いはあるのでしょうか?
メタバース建築家とマップクリエイターの違いについて
楳溪さんによれば、「メタバース建築家」という肩書きに明確な定義はまだないそうです。
強いて「メタバース建築家」と「マップクリエイター」を分けるのであれば、
現実の建築(マンションや店舗など)をモデルにメタバース空間に建物を設計するのが「メタバース建築家」、デジタル空間ならではの自由度を活かした設計を行うのがマップクリエイター、だそうです。
メタバース建築サービスとは?
次に「メタバース建築家」として楳溪さんが提供するサービスについてお伺いしました。
現在、「メタバース建築家」として提供するサービスは主に2つ、【バーチャル空間の制作】と【CGムービーの制作】を提供しているとのこと。
バーチャル空間の制作
【バーチャル空間の制作】は物件の施工前に顧客に完成イメージを示すためのバーチャル空間を制作し提供するサービス。
顧客はアバターとしてバーチャル空間に入り、完成後の建物を内見することが可能です。
CGムービー制作
【CGムービーの制作】では、完成後の建物での人々の動きや賑わいをCGムービーで再現し、事前に生活感などをイメージすることができるサービス。
これにより、顧客は実際の建築に先立ち、より具体的な完成イメージを持つことが可能になります。
メタバース建築を活用するメリットは?
メタバース建築を活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
不動産の成約率の向上
建築士や不動産企業にとって、施工前に完成イメージを顧客に示すことは非常に重要です。
メタバース建築を用いることで、建築前〜建築中の物件のリアルな完成イメージを共有できます。
顧客はメタバース空間内に建築された建物内部を見て回る事ができるので、不動産を購入した後の生活や運用をより詳細にイメージできることで不動産購入の成約率向上に繋げることを期待できます。
設計の再確認
一般的に建築士が建物の設計から関わる場合、建物の設計図を作成し、その後図面に合わせて建物の模型を制作します。
この模型は顧客に完成イメージを共有するためのものでもありますが、建築士が自身のイメージをブラッシュアップするためにも用いられます。
メタバース建築を用いることで、従来の模型制作にかかる時間を短縮し、建築士が自身のイメージをブラッシュアップすることにも役立てられるそうです。
このアプローチは、建築士自身のプロジェクトへの理解を深め、顧客満足度を高める効果が期待できるとのことです。
イメージしていたものと完成した物件や内装が異なる、という建築トラブルは年間数万件あり、メタバース建築を活用することでこのようなトラブルを減らし、不動産/建築業者と顧客の溝を埋めることが可能となります。
楳溪さんは、メタバース建築の活用が不動産や建築業界におけるコミュニケーションの質を高め、プロジェクトの透明性を向上させる重要な手段であると考え「メタバース建築サービス」に取り組み始めたそうです。
メタバース建築の事例紹介
カフェテリアの外観から内観まで完成後のイメージをメタバース空間に再現。模型や画像イメージでは伝えきれない細部まで確認することができます。
マンションのリフォーム後の室内の完成イメージをメタバース空間に再現。リフォーム後の室内の様子を忠実に再現することで、顧客は安心して内装のリフォームを依頼することができます。
こちらはバーラウンジの改装後の様子をCGムービーで制作しています。従業員やお客さんが過ごしている様子をCGムービーで再現することで、空間の雰囲気や動線を確認できます。
今回の取材の中で特に驚いたのは、事前にイメージしていたものと、完成した物件や内装が異なるというトラブルが年間数万件もあるということです。
物件の購入やリフォームは決して安い買い物ではないですし、絶対に失敗したくないですよね。
メタバース建築を活用することで、不動産/建築業界と顧客の間の摩擦を軽減し、設計の試行錯誤に関するあらゆるコストを大幅に軽減することが期待できます。
- 2024-04-03
- Study(学ぶ)
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