タイパとメタバース:時間消費のジレンマを克服するメタバース戦略①
1分で終わるTikTok動画やYouTubeのショート動画を見ているとき、あなたは『タイパ』という特有の概念に触れています。
このタイパ文化は、意外にもメタバースに大きな影響を与えています。
本記事ではROBLOX、ZEPETO、FORTNITE、Clusterなどの、ゲームメタバースを活用した企業の企画やコンテンツが失敗してしまう理由とタイパの関連性について考察していきます。
目次
メタバースの活用が上手くいかない理由
多くの企業や自治体がメタバースを活用したPR活動を展開していますが、上手くいかないことも少なくありません。
実際に、企業や自治体のメタバース企画の担当者の方には、頭を悩まされている方も多いのではないでしょうか?
例えば、メタバースで企業独自のゲームコンテンツやバーチャルイベント/ショッピングモールを開催しても、期待ほどの集客が得られず、一過性で終わってしまうケースなど。
このような結果が生まれる理由の一つとして、タイパを重視するユーザーのニーズと、企業が展開するメタバースコンテンツに大きなズレがあることが考えられます。
タイパ(タイムパフォーマンス)とは?
タイパ(タイムパフォーマンス)とは、時間を有効に活用し、その価値を最大化することを指します。この概念は、特にZ世代(1990年代後半から2000年代初頭に生まれた世代)において重要視されています。
Z世代はインターネットと共に育ち、迅速な情報取得と効率的な時間管理を重視する文化を持っています。
実際にはZ世代に限らず、多くの世代に渡って「タイパ」という概念は日々の生活に浸透してきていると考えられます。
・タイパ文化の形成と影響
タイパ文化の形成には、スマートフォンやSNSの普及が大きく影響しています。
情報を取得するスピードと量が飛躍的に増加し、人々はより効率的に情報を処理する必要性を感じるようになりました。
また、即時性を求めるライフスタイルの定着や、AIの台頭によって目まぐるしく変わるビジネスシーンなど、タイパを意識した行動が日々の生活からビジネスにまで波及していることも挙げられます。
・タイパ重視の具体例
具体的なタイパの例としては、短時間で楽しめる動画コンテンツが挙げられます。
例えば、TikTokやInstagramのリールなど、短い動画が好まれる傾向や、オンラインショッピングにおいても、迅速な配送や簡単な購入手続きが求められるなど、生活やビジネスのあらゆる側面において「タイパ」の重要度は増しています。
特にTikTokでは、動画の最初の数秒でユーザーの心を掴めなければ再生数が増えない、など、「タイパ」がどれだけ重要かが色濃く反映されています。
ゲームメタバースとは?
ゲームメタバースとは、ROBLOX、ZEPETO、FORTNITE、Clusterのように、インターネット上の仮想空間で様々なゲームコンテンツを楽しんだり、世界中のユーザーとリアルタイムに交流できるメタバースのことを指します。
※上記はあくまでもメタコレ独自の定義です。
これらのゲームメタバースでは、独自のアバターファッションやゲームコンテンツ(UGC)をユーザーが公開・販売できるので、クリエイティブな表現の場としてや、新たなビジネスチャンスの可能性など、個人~法人問わず多くの人々を惹きつけています。
また、ゲームメタバースのメインユーザー/ターゲット層はZ世代を中心とする若年層であり、これはタイパを重視する世代と重複することも大きな特徴です。
・企業とメタバース
2022年ごろから世界中の多くのユーザーが利用するゲームメタバースに、広告としての可能性や新たなビジネスモデルを見出し、国内外の様々な企業や自治体がメタバースコンテンツを展開してきました。
- 企業の活用事例1:
ファッションブランドがゲームメタバースのユーザー向けにアバターファッションを販売 - 企業の活用事例2:
企業のブランドイメージを反映させたゲームコンテンツをゲームメタバースで展開
etc…
しかし、
ゲームメタバースで展開したデジタルファッションがユーザーに売れなかったり、
自社のゲームコンテンツに思ったよりもアクセスが集まらなかったりすることもあります。
最近ではこのような事例を揶揄して「メタバースはオワコン?」や「メタバースは一過性のブーム」なんてタイトルのネット記事も見かけますよね。
・メタバースの活用が失敗に終わる理由
これらの企業がメタバース活用を失敗に終える理由の一つに、タイパを重視する若年層のニーズを十分に考慮していない可能性が挙げられます。
タイパを重視するユーザーは短時間での高効率な体験を求めており、そのニーズに応えるためには、メタバース上で展開するコンテンツがより効率的で直感的にプレイできる必要があります。
簡単に言い換えると、
失敗に終わる・望んでいた結果を得られなかった企業のメタバースコンテンツは、タイパを重視する若年層にとってはストレスの多いコンテンツであった可能性が非常に大きいと言えます。
- アクセスするのに時間がかかる
(ロード時間が長い、プレイ中にラグが発生するなど) - 操作がしづらい
(ユーザーファーストなゲームの操作性が考慮されていない) - しっかりチュートリアルを読まないとゲームプレイできない
(直感的にプレイできないコンテンツ設計)
etc……
タイパ重視のユーザーとメタバースの関係性を考察することで、企業が今後どのようにメタバースを活用すべきかの指針が見えてきます。
タイパ重視のユーザーは効率的な時間利用を重視し、短時間で多くの情報や体験を求めます。一方、メタバースは深い没入体験を提供しますが一定の時間消費を求めることは避けられません。
この矛盾を解消するためには、提供するメタバースコンテンツがユーザーに対して、より効率的で直感的な体験を提供する必要があります。
次回の記事では、これらの内容を踏まえ、企業がどのようなメタバースコンテンツを企画すべきかについて、成功事例の紹介と共に詳しく探ります。
お楽しみに!
- 2024-06-06
- Study(学ぶ)
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